重大事態として調査することになった、と学校から連絡があった。あるいは、調査が終わって報告書を受け取った。この記事は、その段階にいる保護者の方に向けて書いています。

重大事態に当たるかどうか、どう申し立てるかはいじめの「重大事態」とは何かをご覧ください。

以下で「ガイドライン」と書いているのは、文部科学省の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(2024年8月改訂)のことです。

調査の前に受ける説明

調査が始まる前に、学校や設置者(公立なら教育委員会)から説明を受けることになっています。ガイドラインが挙げている主なものは、次のとおりです。

  • 1号と2号のどちらの重大事態として扱うか
  • 調査の目的
  • 調査組織の構成(委員の氏名や職種)
  • 何について、誰に、どのような方法で調べるか
  • 調査の時期と、経過をどう報告するか
  • 調査結果をどう伝えるか、個人情報をどう扱うか

一方的に説明を聞くだけの場ではありません。要望や疑問を伝え、確認し合う場とされています。

この場で何を確認したかは、後で効いてきます。後に書くとおり、再調査を検討する例には、事前に確認した調査事項が十分に調べられていない場合が入っています。確認した内容は、メールなど形に残る方法で学校に送っておくことをお勧めします。

調査組織の構成

調査は、学校や設置者の下に設けられる組織が行います。事案によっては、第三者を加えた組織になります。

ここでいう第三者は、その事案の関係者と直接の人間関係や特別の利害関係がない人です。弁護士、医師、学識経験者、心理や福祉の分野の人などを、職能団体や大学などから推薦を受けて選ぶことが想定されています。

重大事態が起きた学校を担当している弁護士(スクールロイヤーや顧問弁護士)や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーは、委員に加わること自体はあっても、第三者と位置付けるのは適切ではない、とガイドラインは書いています。

どのような職種の人に入ってほしいか、保護者は要望を伝えることができます。ただ、特定の人を名指しで加えるよう求めた場合は、公平性・中立性が保てなくなるため、職能団体などに推薦を依頼する形になる、と説明されることになっています。

調査のあいだに伝えられること

調査が始まったら、あとは結果を待つ。そう思っておられる方が多いのですが、途中でできることがあります。

  • 調査してほしい事項を具体的に伝える。いつの、誰との、どの出来事を調べてほしいのかを整理して伝えます
  • 聞き取ってほしい相手を挙げる。周囲で見ていた児童生徒がいる場合、その存在を伝えます
  • お子さんの聞き取りの方法について希望を伝える。負担の大きい形での聞き取りは、本人の状態によっては避ける必要があります
  • 経過の報告を受ける。調査は長くかかることがあり、ガイドラインは、学校や設置者が定期的に、また適時に経過を報告するものとしています

これらをどのタイミングで、どのような形で行うかによって、調査の進み方は変わります。

報告書と所見書

いじめ防止対策推進法28条2項は、学校の設置者または学校は、調査を行ったときは、いじめを受けた児童等とその保護者に対し、必要な情報を適切に提供するものとしています。

ガイドラインでは、調査報告書の本体か概要版を示し、口頭で説明する方法が考えられるとされています。説明する内容は、いじめがいつ、誰から、どのような態様で行われたか、学校がどう対応したか、といった事実関係などです。

ほかの児童生徒のプライバシーに配慮して、伏せられる部分が出ることはあります。それでも、ガイドラインも文部科学省の「いじめの防止等のための基本的な方針」も、いたずらに個人情報保護を盾に説明を怠るようなことがあってはならない、と書いています。調査したが結果は教えられない、という扱いは、この規定の趣旨に沿いません。

報告書を読んで、事実認定に漏れや誤りがあると感じることもあると思います。保護者が希望すれば、調査結果についての所見を書面にまとめて出すことができます。所見は調査結果の報告に添えて、次に書く地方公共団体の長などに送られます。

首長への報告と再調査

公立学校で重大事態が起きたときは、学校から教育委員会を通じて、地方公共団体の長(市長や知事)にその旨が報告されます(同法30条1項)。調査が終わると、その結果も長に報告されます。報告を受けた長は、必要と認めるときは再調査を行うことができます(同条2項)。

私立学校の場合、報告を受けて再調査を行うことができるのは、都道府県知事です(同法31条)。

ガイドラインは、再調査を行う必要があると考えられる場合として、次のような例を挙げています。

  • 調査を取りまとめた後に、結果に影響しうる新しい重要な事実が分かった
  • 事前に保護者と確認した調査事項について、十分な調査が尽くされていない
  • 調査組織の公平性・中立性が明らかに確保されておらず、保護者も構成に納得していない

学校や教育委員会の調査に納得できないとき、次の段階があるということです。

ご相談で扱えること

  • 事前の説明の場で、何を確認し、何を求めるかを整理する
  • 学校や教育委員会との面談に同席する
  • 調査結果の報告書を読み、事実認定や評価に問題がないかを確認する
  • 調査結果に対する所見の書面を作成する
  • 調査と並行して、あるいは調査の後に、相手方への請求を検討する

調査が始まった段階、報告書を受け取った段階。どこからのご相談でも構いません。

対面・電話・オンラインでのご相談は30分5,500円(税込)、メールでのご相談は初回無料です。お手元に届いている書面があれば、それを見ながらお話をうかがいます。