担任の先生に伝えた。話は聞いてもらえた。けれども、その後の状況が変わらない。何度か連絡したが「様子を見ています」という返答が続く。

いじめのご相談で、よくうかがう状況です。

学校が負っている義務

いじめへの対応は、学校の裁量に任されているものではありません。いじめ防止対策推進法23条が、やるべきことを定めています。

児童等からいじめの相談を受けた場合などには、学校への通報その他の適切な措置をとること(同条1項)。通報を受けたときは、速やかに事実の有無の確認を行うこと(同条2項)。いじめがあったと確認された場合には、いじめをやめさせ再発を防止するため、被害を受けた児童等やその保護者への支援、いじめを行った児童等への指導やその保護者への助言を継続的に行うこと(同条3項)。

「様子を見る」がこの事実確認や支援に当たるといえるかは、状況によります。ただ、事実確認をしないまま時間だけが過ぎている状態は、条文が想定しているものではありません。

伝え方を変える

同じ内容でも、伝わり方は形によって変わります。

書面で伝える

口頭でのやりとりは記録に残りません。伝えたつもりでも、学校側の受け止めが違っていることがあります。

これまでの経過と、学校に求めることを書面にまとめて提出すると、内容が明確になり、記録としても残ります。特別な形式は必要ありません。日付、お子さんの学年とお名前、時系列の経過、求めること。これだけ書けば足ります。控えは必ず手元に残してください。

誰に伝えるかを変える

担任の先生だけに伝えている段階であれば、学年主任、生徒指導担当、教頭、校長に伝えることを検討します。

いじめ防止対策推進法22条は、学校がいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、複数の教職員や心理・福祉等に関する専門的な知識を有する者などにより構成される組織を置くものと定めています。担任個人の判断ではなく、この組織で対応すべき事柄だ、という整理になります。書面には、この組織で検討していただきたい旨を書き添えることができます。

スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー

多くの学校に配置されています。お子さんの状態について第三者の見立てが加わると、学校の受け止め方が変わることがあります。

学校の外の窓口

学校に伝えても状況が変わらない場合、外にも相談先があります。

教育委員会

公立学校の設置者は教育委員会です。学校の対応に問題があると考える場合、教育委員会に相談できます。

学校を飛び越えて連絡することをためらう方もいらっしゃいます。ただ、いじめ防止対策推進法は設置者にも役割を定めていて、相談先としてもともと想定されています。

重大事態としての申立て

お子さんの心身に重大な被害が生じている疑いがある場合、あるいは学校を欠席する状態が続いている場合、「重大事態」として調査を求めることを検討できます。この場合、学校や教育委員会には調査を行う義務が生じます。

詳しくはいじめの「重大事態」とは何か|調査を求めるときの手続きをご覧ください。

法務局

法務局では人権相談を受け付けており、調査や関係者への働きかけが行われることがあります。

警察

暴行、傷害、恐喝、器物損壊など、犯罪に当たり得る行為があるなら、警察への相談も選択肢になります。いじめ防止対策推進法23条6項も、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるときは、警察と連携して対処するものと定めています。

相手方や学校の責任を問う

学校を通じた対応とは別に、いじめを行った児童生徒やその保護者に対して、直接責任を問うことを検討する場面もあります。

未成年者が他人に損害を加えた場合、その未成年者に責任能力がないときは監督義務者が責任を負うことがあり(民法714条)、責任能力があると判断される年齢であっても、保護者の監督に問題があった場合には保護者自身の責任が問われることがあります。

学校の対応そのものに問題があった場合は、公立学校であれば国家賠償法に基づく請求、私立学校であれば在学契約上の義務違反を理由とする請求を検討することもあります。

どこまで認められるかは、事実関係と手元にある証拠で大きく変わります。ここに書いたのは、請求を検討する余地があるという段階までの話です。

時間の制限

不法行為に基づく損害賠償請求権は、損害および加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効にかかります(民法724条)。生命または身体を害する場合は、前者が5年になります(同法724条の2)。

注意したいのは、「知った時」を、お子さん本人ではなく法定代理人である保護者の方が知った時点で判断する場合があることです。お子さんが成人するまで期間が進まない、というものではありません。

学校の責任を問う場合は、公立か私立かで根拠となる法律が変わり、期間の考え方も変わります。いつの出来事か、いつ知ったと評価されるかで扱いが違ってくるため、一律にはお答えできません。時期が気になる場合は、その点も含めてご相談ください。

行き詰まったと感じたら

次に何をすればよいかは、これまでの経過と、手元にある記録によって変わります。

弁護士が入ると、学校とのやりとりの窓口を代わることも、書面の作成をお手伝いすることも、面談に同席することもできます。ご依頼まで進まず、方針を整理するだけのご相談でも構いません。

対面・電話・オンラインでのご相談は30分5,500円(税込)です。メールでのご相談は初回無料です。